はじめに
プロダクト開発において、コーディング規約を定めておくことはコードの品質を保つ上で重要です。しかし、ドキュメンテーションを行なう場合にあがるのがメンテナンスの問題です。ドキュメントは定期的に見直して更新していく必要がありますが、更新するのも一定のコストがかかります。更新されないことでドキュメント自体が負債になるケースも考えられるでしょう。
基本的には開発ルールを 意識せずに 遵守していくために、Linter や Formatter の力を借りるのがベストだと考えています。
今回は ESLint のカスタムルールで指定した拡張子以外のファイルを配置した場合にエラーを発生させる仕組みを作ったのでご紹介します。
手順
今回は ESLint のプラグインとしてルールを追加し、package.json で依存関係として管理する方法を選択しました。
プラグインを作成する
次のコマンドを実行し、プラグインのひな形を作成していきます。
便宜上ルートディレクトリにディレクトリやファイルを作成していますが、より適切なディレクトリに配置できるとよいでしょう。
ESLint のプラグインとして package.json で管理したいため、追加した eslint-custom-rules ディレクトリに移動して npm init -y
コマンドで初期化しています。
package.json がデフォルトで追加されるので、name
を eslint-plugin-<plugin-name>
のフォーマットに変更します。(他のプロパティは初期値のままです)
main
に指定している index.js が Entry point となるため、Export するルールを追加します。
ルールの記述
本題であるカスタムルールを書いていきます。フォーマットは ESLint の Custom Rules ドキュメントを参考にしています。
ルールのオプションとしてディレクトリと拡張子を渡します。また、いくつかルールを適用させたいディレクトリがある場合を考慮し、復数のオプション渡すことができるようにしています。
このルールを適用することで、ディレクトリ配下に指定した拡張子以外のファイルが検知された場合にエラーが発生します。
テストの追加
ESLint のバージョンアップやルール内容の更新を考慮してテストを用意しておきます。Testing library は jest を想定しています。
テストを実行し、成功することを確認します。事前に filename
や options
の値を変更して意図的に失敗させておくとより安心でしょう。
ルールを適用させる
ルールを適用させたいリポジトリの package.json に次のような記述を追加し、開発時の依存関係としてインストールします。
.eslintrc.js にプラグイン・ルールを追加することで、カスタムルールが適用されます。
.tsx 拡張子に制限しているディレクトリ配下に .js 拡張子のファイルを配置すると次のようにエラーメッセージが表示されました。
最後に
今回はプラグインとしてカスタムルールを作成する方法をご紹介しました。
ESLint の設定ファイルは今後 eslintrc から Flat config が推奨されることが公式ブログの記事で発表されました。Flat config に移行することで eslint.config.js 内でカスタムルールを直接 import
できるようになります。Flat config をすぐに適用できる環境であれば、今回ご紹介した方法ではなくそちらを使う方がよいでしょう。
既存の ESLint のプラグインでは満たせないような仕組みが柔軟に作れるので、今後も積極的に使っていきたいです。